体幹の絞り=龍腰
*体幹の絞りとは、形意拳や心意六合拳でいうところの龍腰のことです。しかし、龍腰はかなり誤解を招く言葉です。まるで、身体を蛇のようにくねくねさせると、捉えられてしまいます。整体の先生も、ネーミングに問題あり、と仰っていました。
*というわけで、なるべく龍腰よりも体幹の絞りと称するようにします。いうまでもなく、体幹の絞りとは私の造語です。造語は作るな ! と叱られたこともありますが、体幹の絞りは必要な言葉なので、使うことにします。
*体幹の絞りは、拳や掌でも必要となりますが、最も顕著なのは、心意六合拳の熊吊膀と龍形挿把となります。(太極拳のロウシツヨウホも体幹の絞りがあれば、簡単に撃てます。)
*熊吊膀は順歩で、龍形挿把は逆歩となります。どちらも肩で当てます。ところが、肩を用いると失敗します。有効な打撃とはならず、最悪、肩を脱臼します。体格差が著しい場合しか使えません。
*肩で当てるのに、肩を用いないとはおかしな話しですが、本当です。肩は動かしてはいけません。肩はなんにもしません。
*ではどうするのか? そこで、体幹の絞りを用います。すると、有効で強い打撃が得られます。
*体幹の絞りは、前鋸筋から始まります。前鋸筋は、腕を最終的に伸ばす時に用います。だから、ボクサー筋とも呼ばれます。ところが、体幹の絞りでは、腕を伸ばす運動とは無関係となります。
*体幹の絞りでは、前鋸筋を横へ膨らませます。腹横筋と同様に用います。前鋸筋の緊張は、斜め下に向かいます。そのまま反対側の鼠蹊部まで切り込みます。
*右側の前鋸筋は、左側の鼠蹊部へ切り込みます。左側の前鋸筋は、右側の鼠蹊部へ切り込みます。整体の先生は、腹斜筋も関係しているだろうと仰っていました。ちょうど腹斜筋の位置です。
*体幹の絞りは、腹横筋呼吸法と密接な関係となります。腹横筋をヘソを中心として左右へ引っ張ります。
*この腹横筋の動きが大切です。もしも腹横筋を用いないと、身体が回転してしまいます。よくある間違いの、身体が回転する熊吊膀となります。体幹を絞ることができません。
*実は、宋氏形意拳の熊の1号・2号も、体幹の絞りを用います。崩拳など五行拳も、体幹の絞りを用います。
*私は最初、心意六合拳の龍形裹風で体幹の絞りを体得しました。
*しかし、最初は、心意六合拳の龍形挿把で学習するのが最適と考えます。
*普通は、龍形挿把も身体の外側のラインで実行してしまいます。すると、身体が回転してしまいます。
*そこを,前鋸筋から内側へ、鼠蹊部へ切り込みます。すると、体幹の絞りが成功します。肩を用いずに、肩を当てることができるようになります。熊吊膀も同様です。
*この体幹の絞り=龍腰は、世界で初めてフジマツが解明しました。もちろん、昔からあるものでしたが、誤解も多く、正確な説明はありませんでした。
*体幹の絞りにより、動物武術は閉じられた勁力となります。そして、体幹の絞りの存在しない武術は、開かれた勁力となります。それは例えば馬歩とか十字勁とか沈墜勁とか開合、などになります。