足は走り出さない
*通りがかった近所のおじさん? が見学で参加。おじさんは練習に参加せず椅子に座ってた。
*最初はいつものとおり、心意六合拳の鶏歩と弓歩、宋氏形意拳の六合歩で3分間立つ。Nさんのへっぴり腰を直してみる。
*両手で胸ぐらをつかんでもらう。それを宋氏形意拳の龍形基本功で制圧してみる。以前は片手だったので、両手でつかんでもらい試してみた。みごと成功。龍形基本功なので、つかむこともしないし、逆技も使わない。
*これ、最初は手首をつかんでもらい制圧していた。それから、肩袖でやってみた。今は胸ぐらをつかんでもらう。私のオリジナル? です。龍形基本功そのままなんですけど。龍形基本功にこんな使用法はありませんけど(笑) 。でもとても便利です。片腕で制圧します。
*通りがかり? のおじさん、太極拳をやっていたとのこと。そこで、みんなで太極拳のロウシツヨウホで吹っ飛ばし合いをやってみる。なんだか物足りないので、ロウシツヨウホでパンチング・ミットを撃ってみる。バシッと乾いた音が体育館に響く。(パンチング・ミットはいつも体育館に持参します。)
*実は、たまに体育館の壁をロウシツヨウホで叩いていたので、パンチング・ミットは簡単です。コツは掌根で叩きます。腕の伸縮で撃ってはいけない。心意六合拳の単把と本質的に同じです。
*おじさん、「健康太極拳なので・・・24式太極拳なので」と言っていた。私、「いやだから24式太極拳のロウシツヨウホです」。プププ 今度来る時はミット持ってみてください。二度と来ないだろうけど。
*おじさんにミットで受けてもらいたかった。そうすれば、勁力を感じられたはず。
*途中からLさんが来た。熊の1号をみんなでやってみる。Lさん、どうも拳が上手くにぎれない。ちくわさんに直してもらう。
*熊の1号で叩いてもらう。これ、肩で撃つけど、実際には体幹で撃つ。肩を当てに行かない。先日、新人さんを叩いたら、うずくまって動かなくなったので、今日は軽くやってみた。そんな感じの練習でした。(新人さん、あれから来ませんけど、ごめんなさい。)
<足は走り出さない>
*走り出したい衝動・・・誰にでもあると思います。特に若い人なんか。幼児も突然楽しそうに走り出します。走りながらキャーと叫んでいます。生きているそのこと自体が楽しい ! なんて感じ。青春映画も、太陽に向かって走ります(笑) 。あるいは大雨の中を走ります。
*走る、ジャンプする、汗する、がんばる、全力を出す、根性 ! 青春 ! なんて具合です。
*しかし、姿勢勁力はその対極にあります。走らない、ジャンプしない、汗しない、がんばらない、全力は使わない、根性無し、なんて具合です。
*走ると体重移動してしまいます。走ると浮いてしまいます。がんばると地面を蹴ってしまいます。全力を使うと勁力ブレーキが掛かります。根性ではなく、じっくりゆっくり立ちます。体重が下腿三頭筋に静かに降りて来るまで、待ちます。
*するとエネルギーが溜まります。このエネルギー、いつ放出するのでしょうか? いえ、放出することはありません。なにしろ、爆発しない勁力ですから。それにこのエネルギー、自分の体重そのものですから。
*ひたすら静かに立ちます。それが、心意六合拳の鶏歩と弓歩、宋氏形意拳の六合歩、なのです。
*そして、地面を蹴ることなく、左右の足が交替します。それが心意六合拳の鶏行歩です。
*というわけで、発勁動作がありません。沈墜勁も十字勁も纏絲勁も震脚もありません。
*発勁動作が無いといっても、動く部分はあります。それが鷹爪です。前腕の筋肉です。そこだけは動きます。
*それがどうしても我慢ならない、という人もいます。そうなると、心意六合拳の鶏行歩で走り出してしまいます。それはもう嗜好の問題ですから、そのような道場へ行くしかありません。
*爆発するだけが勁力ではありません。爆発しない静かな勁力も存在しています。しかし、そのような存在そのものが許せないという人もいます。そこは勘弁してください。
*武術脳の人には、静かな勁力が理解できません。それは仕方ないことです。
*合気上げ、と強引に結びつけた人もいました。合気道とは無関係です。あのような華麗な技は動物武術にはありません。
*心意六合拳の師匠からは、ガードの上から叩け、と教わりました。元よりそれで相手が倒れてくれるわけでもありません。でもあえて、ガードしてもらうようにします。
*そのコツは、撃ち抜かないこと、です。突き抜かないこと、です。これを私は、心意六合拳の虎擺尾と搖閂把で理解しました。
*これは、最初の原則の「走り出さない」ことと直結します。走り出さない原則を、最後まで貫徹します。足は走りださない。拳は撃ち抜かない。そこに姿勢勁力は生まれます。
*これは、武術脳の人には理解できないばかりでなく、許容できないと思います。
*そこは価値観の違いですから、どうしようもありません。どうしようもないから、別れるしかありません。その点は、恋愛も武術も同じです。お元気で ! さようなら!
*足は走り出さない。拳は撃ち抜かない。それでもいい人は、体育館に来てください。