最も大切なもの
*姿勢勁力の足は指行性です。ですから、最も大切なものは足指です。
*ところが、現代日本人は足指を失ってしまいました。それが退化か進化か、どちらでもいいのですが。進化とは変化のことですから。誰だよ、変化を進化なんて言い出したのは。
*ダーウィンがいけないのか? 大英帝国だからなあ。世界を支配するために進化論が生まれたわけだ。進化論も帝国主義理論だった。
*さて、足指が既に無くなっているので、私が、「足指を使って歩く」というと、足指で地面をつかむ、という愚かな行為をします。もはや、足指の使い方を忘れてしまっているのです。
*下腿三頭筋の話しをすると、下腿三頭筋を緊張させようとします。足首の折れ曲がりの話しをすると、一生懸命に足首を折り曲げようとします。
*足指も足首も下腿三頭筋も、何もしなくていいんです。何かする必要はありません。ありのままでいいんです。
*だって、あなたには体重がありますから。姿勢勁力は体重を利用するだけのことです。
*一生懸命にやることは、何もありません。がんばることは、何もありません。そのままの自分でいいんです。なぜなら、あなたには体重がありますから。
*その体重を勁力として利用するだけです。そのための技術が姿勢勁力と指行性なのです。
*Nさんの心意六合拳・弓歩虎抱頭がなかなか素晴らしいのですが、だんだん下手になりました。褒められたことにより、もっと効かせてやろうとして、地面を蹴るようになりました。本人は気がついていませんけど。
*地面を蹴ることにより、身体は浮き上がります。すると、勁力として利用できる体重が大きく減ってしまいます。最初の頃は良かったのになあ・・・下降線をたどっています。
*足指も同様に、何もする必要はありません。ただ、体重が足指に載るだけです。そして、それを維持します。
*階段の下りを指行性の例としましたが、あんなもの指行性の練習には成りません。なぜなら、階段の下りの指行性は、瞬間的なものだからです。
*瞬間的なものでは役に立ちません。それではなんで例としたのかよ ! フジマツの馬鹿野郎 ! そっそんなに興奮しないでください、旦那様。
*あなたの鈍い足指のために、例としただけです。あんまり鈍いから、仕方無かったんです。どうもすいません。まあ、譬え、ですから。あんまり熱くならないでください。落ち着いてください。
*指行性に気がついたのは、心意六合拳の鶏歩です。鶏歩の後ろ足は踵が地面から浮いています。足指と趾球が地面に付いています。ネコやイヌやニワトリと同じです。
*前足の踵は地面と接触しているので、蹠行性のようですが、踵に体重が載っていません。前足の足指はとても軽いストッパーになっています。だから、隠れ指行性です。(宋氏形意拳と武式太極拳は隠れ指行性です。)
*鶏歩のままで歩くのが鶏行歩です。鶏撲食などの技においても、鶏歩から足を前進させます。実はここに大きな問題があります。
*初心者はどうしても、後ろ足の踵を降ろしてから前足を前進させます。つまり、鶏歩を崩してしまいます。そのほうが楽だからです。
*しかし、それでは勁力が発生しません。後ろ足の踵を絶対に降ろしてはいけません。つまり、鶏歩を維持したまま前進します。
*ところがそれは辛いことです。鶏歩は、鶏行歩は、鶏撲食などの技は、コストが悪いのです。心意六合拳は勁力のために、コストを犠牲にしたのです。
*それに対して、沈墜勁や震脚などの動的勁力はコストが良いのです。
*心意六合拳のコストを改善するためには、どうすればいいのか? それは心意六合拳から鶏歩や鶏行歩を捨てればいいのです。するとコストは良くなります。すると、当然の結果として動的勁力を導入します。そんな心意六合拳も存在します。
*しかし、姿勢勁力の指行性はコストが悪いのです。それを承知で練習しています。その肝心要は、鶏歩の歩型を維持して前進することです。
*そして心意六合拳の鷹捉(ようそく) が大きなヒントになります。あるいは三盤落地の飢虎撲羊(きこぼくよう) です。
*それらは、前足の足指に全体重が載ります。それを維持して、後ろ足が前へ行き撃ちます。
*蹠行性のヒトが指行性(隠れ指行性) するのですから、コストが悪いのは当たり前です。コストを取りますか? それとも姿勢勁力を取りますか?