全過程に勁力がある
いわれたときは震えましょうよね
そうよあたしゃ女でけっこう
女のくさったのでかまいませんよ
青くなって尻込みなさい
逃げなさい 隠れなさい
(先月亡くなった加川良さんの歌「教訓I」から)
*胴締め先生が怖いです。オレンジ老師も怖いです。でも・・・シロクマさんが"もっと"怖いです。
*以前は、後ろ足勁力と称していました。でも、いろいろと誤解されました。表現としても不十分でした。そこで今は、指行性の姿勢勁力と称します。
*後ろ足勁力とは、定歩を基準にしていました。心意六合拳の鶏歩と弓歩、宋氏形意拳の六合歩、それらの定歩です。
*つまり歩いていません。しかし、心意六合拳の鶏行歩は歩きます。歩くとなると、左右の足が交替します。
*すると、何が後ろ足で何が前足なのか? わけわかりません。メンドー臭い問題が起こります。
*後ろ足一本足状態の時があります。前足一本足状態の時もあります。前足が着地した瞬間の状態もあります。
*いつ撃つのか?
*一般的には、前足が着地した瞬間です。その時、体重は後ろ足の下腿三頭筋にあります。
*大きく前進した時は、前足一本足状態となり、後ろ足は浮いています。
*実はこれ、戦術的問題でもあるのです。一歩あるいは二歩踏み込んで撃つ、というのが現実的です。動かずに撃つのは危険です。
*相手も近づかせてくれません。無造作に近づくと、ボコボコにされます。
*そしてこの時、前手前足の同着、というわけです。これが安定して撃てます。
*しかし、これだけではありません。実は、いつでも撃てるのです。
*後ろ足一本足状態の時も、前足一本足状態の時も、鶏行歩で歩いている全課程において、撃てるのです。
*いいかえると、途中経過がとても大切ということです。
*途中の全過程において、勁力が無くては成りません。
*途中の全過程において、勁力が必要となります。
*だから体重移動しないで、体重をキープします。下腿三頭筋に体重をキープしたまま歩きます。
*もしも地面を蹴ってしまうと、ジャンプしてしまうと、空白の時間が生まれます。
*だから、空白の時間を無くします。だからランニングとウォーキングは使えません。
*体重を右足、または左足の下腿三頭筋にキープします。キープしたまま歩きます。それが心意六合拳の鶏行歩なのです。
*これは動的勁力(沈墜勁、十字勁、纏絲勁、震脚など) とは違います。動的勁力は勁力時間が一瞬です。
*姿勢勁力は一瞬ではありません。ずぅーと存在しているのです。なにしろ姿勢ですから。だから爆発しません。爆発しない勁力です。
*しかし、問題が残っています。
*大きく前進して前足一本足状態になった時です。この時、後ろ足は浮いています。だから、その前段階において勁力が発生していなければなりません。
*これも全課程において勁力が発生している、との前提条件というわけです。
*通常は前足一本足状態のままではフットワークが悪いので、すぐに後ろ足を引き付けます。
*この時に音を立ててはいけません。静かに引き付けます。だから、その時の後ろ足は力が抜けていなければなりません。
*別の問題もあります。心意六合拳にはジャンプする技が少なくありません。それはどういう構造なのでしょうか?
*このジャンプは戦術的ジャンプです。相手との関係上ジャンプします。だから、ジャンプしなくてもいい場合もあります。
*さらによく観察すると、一本の足が着地した瞬間に撃っています。空中で撃っているわけではありません。
*唯一の例外が、猴形の二段蹴りです。捲地風という低い蹴りを連続して蹴ります。高い蹴りではないので、とても地味な技です。でも楽しい技です。
*武式太極拳の場合、鶏行歩が無いので習得しやすい。また蹠行性から指行性への変態過程があります。しかし、鶏行歩が無いので、全過程に勁力があるわけではありません。しかし、慣れてくれば、蹠行性から指行性への変態は一瞬です。