*先日、ある流派の人に心意六合拳の鷹爪を教えてみました。私は、前腕の筋肉で指先の張りを造る、といつものように教えました。
*すると、彼は「ケンがー」と主張していました。あくまで筋肉を否定したいようです。そこのところは論争しても時間の無駄なので、スルーしました。
*しかし、15年振りに会った元虎鷹拳院の会員も「ケンがー」の人でした。
*腱とは骨と筋肉の結合組織でとても硬いものです。硬いので、ほとんど伸縮できません。無理に伸ばすと切れてしまいます。よく知られるところでは、アキレス腱断裂です。
*つまり、伸びしろがありません。無くてはならないものですが、鍛えることはできません。利用も限られます。
*筋肉は筋細胞と結合組織でできています。もちろん伸縮します。大きくすることもできます。筋肉は伸びしろがあります。
*私も前腕の筋肉を大きくしたら、拳も掌も安定してきました。相手を受け止めることも楽になりました。そして、前腕だけで撃つ、ということも完全に理解できました。
*内家拳信者に限らず、中国武術者の特徴は筋肉を否定することです。しかし、みっともないなあ。「気」とか「意」とかを唱えていると、おかしなことになります。
*気とか意とかは心理学、ということを知るべきです。武術に心理学は必要です。人間の行動の全てにおいて、心理学は重要です。生活においても、人生そのものにおいても、心理学は大切です。心理から病気になることもあります。私も職場環境と心理から腎不全と心不全になりました。
*しかし、心理学と勁力は区別されるべきものです。勁力を直訳すれば、強い力です。
*そこに心理学を混ぜると、訳の解らないものができあがります。
*心理学は、相手との闘いにおいて、必要不可欠のものです。それは、勁力の効果を決定付けます。
*しかし、それは戦術なのです。戦略ではありません。闘いにおいては、戦略としての武器が必要です。それが勁力です。
*前腕の筋肉を大きくすれば、勁力も増大します。前腕だけで撃つということも理解できます。そのための鉄牛耕地です。腕立て伏せでは、前腕の筋肉にほとんど効果がありません。
*もちろん、筋肉=勁力ではありません。だから、筋トレやっても勁力はできません。しかし、勁力とは特殊な運動です。特殊ではあるけれど、運動の一種なのです。
*闘いは二人以上で実行されます。だから、相手との心理戦が大切です。勁力は一人練習で獲得できます。それは己の身体を武器とすることです。
*いい加減、筋肉を否定することをやめませんか?