動物武術の虎鷹拳院日誌

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2016年 02月 01日 ( 1 )

勁力への旅・その三

*これで駄目だったら、武術を止めよう、と決心した心意六合拳ですが、実は以前、徐文忠先生から心意六合拳をかじったことがありました。(1984年、上海外国語大学へ語学研修した時です。)

*そこで、徐文忠先生から習おうと思ったのですが、カルフォルニアへ行ってしまった、との情報がありました。もう上海に戻ってくることは無い、と判断して、徐文忠先生の線はあきらめました。(実際には二ヶ月位で上海へ帰ったそうです。) 

*この際だから、徐文忠先生とは全く違う系統の心意六合拳を習おう、と決心しました。何故そのように考えたのか? はっきりとはしません。しかし、この決断が勁力獲得の扉を開きました。神様のお導きでしょうか? (無神論者なのですが) ともかく、運命の扉は開かれました。

*後年、考えてみると、徐文忠先生の心意六合拳の勁力は、前足の踏み込みだけでした。鶏歩本来の勁力はありませんでした。それは、鶏行歩を見るとはっきりと見て取れます。浮いています。上海では一般的な心意六合拳のようですが、姿勢の勁力にはほど遠い拳です。

*徐文忠先生の心意六合拳は、その形意拳と同じく蹠行性(せきこうせい) でした。踵で着地します。そして、地面を蹴る運動で前進します。前足の踏み込みも、地面を蹴る運動です。

*当時、私の手元に、「心意六合拳」の本がありました。陶子鴻著、寧夏人民出版社、とあります。これが、私の師匠となる張克強先生の著作とは、その時は知るよしもありませんでしたけど。

*本を見ると、なにやら技がたくさんあります。十大形套路まであります。楽しそうです。この心意六合拳に決めました。実にいい加減であります。イラストは実に怪しいのですけど(笑) 。図の位置も間違いがあります。このイラストについては、出版社によるすり替えが行われたそうです。

*当初、イスラム帽を被った回族の心意六合拳者が描かれていたのですが、出版社が勝手にすり替えました。少数民族差別が背景にあるようです。中国(漢族) の民族差別は凄まじいものがあり、日本人の想像できる範囲を越えています。過去にも、そして現在も民族虐殺事件が後を断ちません。

*「心意六合拳」の本は、上海体育学院の邱先生が自分の本棚からくれました。私が心意六合拳に興味がある、と言ったためでした。張克強先生が上海体育学院卒業で、邱先生の学生でもあったとは、その時は知りませんでしたけど。

*実際にはその本をもらってから数年後、私は上海行きの飛行機に乗り込みました。陶子鴻先生を探しに。その頃、陶子鴻先生は既に亡くなっていたとも知らずに。(アホです、フジマツ)

*上海財経大学の陳如慶先生に手紙を送りました、「陶子鴻先生を探してください」と。ところが返事がなかなか来ません。まっいいかと返事を待たずに上海へ行きました。いい加減です、フジマツ。

*とりあえず、上海体育学院の邱先生の自宅へ向かいました。陳如慶先生が引っ越したらしいとの情報があったので、手紙は大学へ送ったのでした。邱先生は出張で不在でしたので、とりあえず夫人に肉うどんをごちそうになりました。おいしかったです。(何やってんだか) 

*夫人があちこちに問い合わせして、引っ越し先が判明しました。その日はもう遅いので、上海体育学院の招待所に泊めてもらうことにしました。夫人の計らいで半額にしてもらいました。シーズンオフでお湯が出ませんでしたけど、贅沢は言えません。宿泊は私一人ですから。

*やっと陳如慶先生の自宅を探し当て、会うことができました。ところが、私の手紙は受け取っていない、とのことでした。ちょうど大学が春休みで、陳先生も大学へ顔を出していなかったというわけ。

*とりあえず、陳如慶先生、様々なルートを使い、陶子鴻先生を探してくれました。陶子鴻先生が既に亡くなっていることはすぐに解りましたので、その弟子をいろいろと探してくれました。すると、警察学校に弟子がいるらしい、と解りました。

*さっそく警察学校へ行くことになりました。ところがその警察学校、上海の郊外でした。行ってみたら、荒野にポツンとあるだけ。周りには民家も商店もありません。要するに軍事基地みたいなものです。

*後から考えたら、外国人立ち入り禁止地区のはずです。自分一人では、とても辿り着けないところでした。陳先生に当たり前のように連れて行ってもらいました。陳先生も初めて行くところで、バス路線を乗り継いで行きました。

*私は、その心意六合拳の先生の名前を聞きもしませんでした。もちろん、技も見たことありません。でも、もう会う前から習うものだと決めていました。のんきなものです。

*ところで、ヒトは踵で立って歩く蹠行性と地面を蹴る運動で、直立二足歩行を確立しました。したがって、勁力運動としては、地面を蹴る運動を拡大強化すればいいわけです。それが、震脚、沈墜勁、十字勁、纏絲勁、などとなります。

*しかし、心意六合拳の鶏行歩運動は、虎の指行性とニワトリの一本足により造られました。鶏歩は指行性で、鶏行歩は一本足時間を長くします。すると、鶏行歩は地面を蹴るというより、「体重だけ運ぶ」運動となりました。この、体重だけ運ぶ運動により、体重を勁力へ変換することが可能となりました。

*体重だけ運ぶためには、かなり力を抜く必要があります。すると、体重は足首に降りてきます。足首は関節ですから、実際の運動は下腿三頭筋が担うことになります。この時、下腿三頭筋も地面を蹴ってはいけません。鶏歩のよくある間違いは、下腿三頭筋が地面を蹴ることによって生じます。それは余計なお世話となります。

*鶏歩は自分の体重分だけ立ちます。宋氏形意拳の六合歩も自分の体重分だけ立ちます。ここが、がんばる日本人には理解し難いところです。迫力が勁力だと思い込んでいる人にも、理解できないところです。
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by tiger-hawk | 2016-02-01 00:46 | 勁力への旅

回族心意六合拳・宋氏形意拳・動物武術・虎鷹拳院・姿勢勁力・藤松英一


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