龍=ワニから虎鷹へ変態
*心意六合拳と形意拳では、大切な身法として、龍腰があります。龍腰はしばしば龍身とも称されます。
*龍とは何か? 不思議な存在です。中国では、俗に"小龍"といえば"蛇"のことです。となると、龍腰=龍身とは、蛇のようにくねくねと腰を動かすことなのか?
*ところが、心意六合拳の蛇撥草の技を見てみると、くねくねなんかしていません。体幹は脇腹で統一されています。腰は消えています。(蛇撥草とは、蛇が草むらを滑るように移動する様を表現しています。)
*心意六合拳の蛇行歩は、肘撃ちなんですが、肘と体幹は一体化しています。いわゆるムエタイの肘撃ちとは全く違います。(虎抱頭では、肘と頭と体幹が一体化しています。)
*以前、龍とは蛇から想像上で進化した動物だと考えていました。ところが、実際の動作とは合いません。蛇形拳もくねくねしていません。
*龍腰=龍身を解明してみたら、脇腹の前鋸筋から鼠蹊部へ向けて切り込むラインのことでした。だから、龍腰=龍身とは体幹を絞ることです。
*これを表現しているのが、心意六合拳の熊吊膀と蛇形挿把です。熊吊膀とは順歩で、蛇形挿把とは逆歩になります。どちらも身体を閉じます。
*閉じる勁力の要となります。それが体幹の絞り=龍腰・龍身でした。いわゆる十字勁とは真逆の世界です。十字勁とは開く身体・開く勁力のことです。つまり、ヒト武術とは開く勁力となります。
*宋氏形意拳の五行拳も閉じる身体・閉じる勁力となります。そのために、熊の1号と2号の基本功があります。この熊の1号と2号が、絞る体幹・閉じる勁力の根幹となります。
*後に、龍とは蛇が想像上進化したものではなく、古代ワニの化石から想像されたものだと解りました。ワニ学者の説です。確かに、龍の顔・頭部を見るとワニにそっくりです。身体は空を飛ぶために長く伸ばされていますが。私たちは空を飛ぶことはできないので、そこは無視してもいいでしょう。
*むしろ、心意六合拳と形意拳は地に呪われた武術です。大地から生まれて、大地に呪われて、やがて大地に帰ります。
*となると、ワニの体幹を造る必要があります。それが、平起平落の鉄牛耕地です。ワニの体幹は、ヒトの腹横筋・腹斜筋・前鋸筋で造ります。(腹直筋は腹横筋に連動します。)
*前腕は前鋸筋と直結させます。それが鷹爪となります。
*鷹爪=前腕の筋肉ーー龍腰・龍身=体幹の絞りーー鶏歩・六合歩=ニワトリの一本足と指行性、と身体は構成されます。
*前腕の筋肉=鷹爪と下腿三頭筋=指行性は、四足歩行動物だとすると同じものです。ここに、ヒトは虎鷹に変態します。
*様々な動物の精霊に導かれて、ヒトは虎鷹へ変態します。