*心意六合拳の弓歩勁力は、回族の陳先生に教わりました。と言っても、陳先生は後ろ足の踵を上げて降ろしただけです。
*それを見て、私は理解しました。というのも、陳先生は地面を蹴っていなかったからです。地面を蹴ると、身体は浮き上がります。それは、大腿直筋で地面を蹴るからです。それがランニングやウォーキングです。
*姿勢勁力では、地面を蹴るのではなく、地面を長く押します。それは、後ろ足の裏側筋肉を使うからです。すなわち、下腿三頭筋の伸張性収縮です。それで造る弓歩は、普通の弓歩とはまるで違います。
* スピート・スケーットの選手が陸上で基本練習すると、地面を蹴って浮き上がります。ところが、氷の上では滑るので、氷面を蹴るこことができません。氷面を長く押すことになります。あれが参考になります。あくまで参考ですけど。
*また、足を横へ倒すので、親指側エッジを使うことになります。弓歩勁力でも親指側エッジを使います。
*陸上で地面を長く押すためには、前進しないことです。だから、陳先生は後ろ足の踵を上げて降ろしたのです。
*心意六合拳の弓歩勁力が解ったので、武式太極拳の弓歩も同様だと解りました。
*しかし、前進しないといっても、実際には前進する必要があります。心意六合拳は相手を待っているのではなく、積極的に自分から撃ちます。
*そこで、一本足時間を長くします。
*これが、心意六合拳の鶏歩勁力、宋氏形意拳の六合歩勁力となります。
*私は、師匠のおかしな後ろ足に着目しました。鶏歩ではありません。技の中の一本足時間です。鶏歩だけでは理解が難しくなります。鶏歩では勁力が隠れてしまいます。(もちろん、鶏歩で撃つこともできますけど。)
*ところが、鶏撲食や鷹抓把では、鶏歩で終わります。その鶏歩になる過程に着目したのです。
*鶏歩になる以前では、一本足になります。前足一本足状態から後ろ足一本足状態になります。その一本足時間に勁力があります。
*その一本足を大腿直筋ではなく、下腿三頭筋で造ります。下腿三頭筋の伸張性収縮で造ります。
*言葉にすると、それだけです。ところが、これが難しいらしい。
*それは、現代日本人が足指を使って歩くことを止めてしまったからです。
*下腿三頭筋で歩くためには、足首が折れ曲がる必要があります。すると、足首に体重が降りてきます。
*さらに足首が折れ曲がると指行性に近くなります。
*すると、趾球と足指へ体重が移動します。さらに進行すると、一時的に足指で立つことになります。これが一本足時間の最終形態です。この時、勁力が最大発生します。
*しかし、これはとても不安定なので、最後は鶏歩になり撃ちます。あるいは六合歩になり撃ちます。
*これが鶏歩勁力の正体、あるいは六合歩勁力の正体です。