*宋氏形意拳をやりたいという人がいて、たまに来るので教えています。でも、彼にどうやって姿勢勁力を伝えたらいいのか? ちょっと考えてしまいます。
*宋氏形意拳の六合歩の勁力は、進めない力、歩けない力です。当然、目に見えません。心意六合拳の鶏歩と同様です。
*しかし、心意六合拳には弓歩があります。弓歩の勁力は辛うじて見えます。だから、陳先生も踵を上げて降ろして小さい弓歩の勁力を見せてくれました。
*それを弓歩の内部運動とすることもできます。それは、後ろ足裏側筋肉の伸張性収縮です。主に下腿三頭筋、大腿二頭筋、内転筋、などです。裏側筋肉なので、これを裏弓歩と称することにします。
*一般的武術の弓歩は、大腿直筋、外側広筋などで造ります。これを表弓歩と称することにします。表側の筋肉を主体とするからです。
*心意六合拳には様々なスタイルがあるので、表弓歩を使うスタイルもあります。そのほうが主流です。姿勢勁力の場合、裏弓歩です。(こんな表現は中国にはありません。フジマツ独自の表現です。ご了承ください。)
*自然に任せていると表弓歩になります。表弓歩は自然勁力です。ヒトの直立二足歩行は、通常、表筋肉主体です。裏弓歩は不自然勁力です。
*この裏弓歩が、進めない力、歩けない力、の元となっています。実際にやってみると、裏弓歩では前進できません。歩けません。
*宋氏形意拳の六合歩では、見えない内部運動となります。これだと手がかりが少ない。宋氏形意拳希望者にも、心意六合拳の裏弓歩を教えたほうがいいかな? と考えています。
*山西省太谷県には、身体が浮いている先輩がいました。宋光華先生は全く注意しません。ニコニコと見ています。中国の先生はあんな風なんだなあ、と私もボーと見ていました。ああなったら人生終わりだなあ、とは感じましたけど。なにしろ、自分の身体もフワフと浮いていましたから。
*身体が浮いているということは、当然勁力がありません。簡単な解決法としては、沈墜勁や震脚です。でも、姿勢勁力は動作発勁しません。特別な発勁動作がありません。
*何かすると姿勢勁力は失敗します。何かすれば姿勢が崩れるからです。姿勢が崩れると、姿勢勁力は発生しません。
*試しに押してもらうと、何かしてしまう人がいます。普通の人は何かします。それが普通の反応です。それが姿勢勁力にとっては致命傷になります。これはなかなか解ってもらえません。何かするのは本能的反応のようです。
*宋氏形意拳希望者にも、裏弓歩を教えようかと考えています。そのほうが姿勢勁力を理解しやすいでしょう。