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動物武術の虎鷹拳院日誌

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武術には見えません

私は若い頃、勁力は歩法から生まれる、と勝手に思い込んでいました。それは少し正しく、半分以上間違っていました。

一般的な動作勁力は、動作から生まれます。姿勢勁力は姿勢から生まれます。いわゆる姿勢のちからを標榜する場合も、動作を伴います。その場合は、動作勁力となります。体重移動を伴う動作は、動作勁力なのです。

これを心意六合拳の鶏行歩から見てみます。心意六合拳の全ての歩法は鶏行歩、と古い拳譜にあります。これが真実とすれば、心意六合拳の全ての勁力は、鶏行歩から生まれます。

なお、鶏歩の無い心意六合拳、鶏行歩の無い心意六合拳もあります。長い年月の間に様々なスタイルが生まれます。その場合は、動作勁力となります。動作勁力のほうが、人類の習慣に適合しているからです。人間はニワトリではないからです。恐竜や鳥類と人間では、骨格も筋肉も違います。歩き方も違います。それを人間に当てはめるのは不自然です。鶏行歩は不自然なのです。

初めて上海で心意六合拳を見た時、とても奇妙に感じました。まるでアヒルみたい、と感じました。後年、自分が心意六合拳をやるとは、その時に想像もできませんでした。1982年の頃です。みなさんは生まれていませんけど。今の未来都市みたいな上海からは想像できない寂しい上海でした。

心意六合拳はとても武術には見えません。奇妙な姿勢と動作です。もしも武術らしい心意六合拳だとしたら、それは人間に妥協した心意六合拳です。そんな心意六合拳はたくさんありますけど。

心意六合拳は動物武術ですから、人間の武術に見えないところがその魅力です。ですから、武術に見える心意六合拳は、自分にとってつまらない心意六合拳です。なんの魅力もありません。

もちろん、心意六合拳は勇猛果敢な表現を求めます。しかし私は勁力を最優先しました。勁力を裸にしたのです。すると勇猛果敢な表現が装飾だと気が付きました。つまり戦術的要求で、戦略的要求ではない、ということです。

すると、武術に見えない心意六合拳が、さらに見えなさに磨きがかかりました。特に武術に見えない虎抱頭とか、熊吊傍とかの技が好きになりました。

鶏行歩は連続する大きい鶏歩です。どこを切り取っても鶏歩となります。後ろ足一本の時も、前足一本の時も、鶏歩なのです。すなわち、下腿3頭筋の隠れた伸長性収縮です。この隠れたちからが原動力です。

下腿3頭筋は、自分の体重を捕らえて離しません。離したら、勁力の死です。だから、その歩き方は、もはや人間ではありません。

その技も、武術には見えません。それがとても楽しいのです。形意拳は、どうしても武術に見えてしまいます。そこが残念なところです。そこで、ちからを徹底的に抜きます。すると武術ぽさが抜けてきます。反対に、勁力は純化されます。

by tiger-hawk | 2018-11-04 08:31 | 心意六合*形意

回族心意六合拳・宋氏形意拳・動物武術・虎鷹拳院・反人間本能の勁力・藤松英一


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