新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昔、後ろ足勁力と称しました。そしたら、後ろ足は誰にでもある、と反発されました。あまり良いネーミングではありませんでした。
で、考えてみると、みなさんの後ろ足は地面を蹴ります。働きものの後ろ足です。姿勢勁力の後ろ足は、地面を蹴りません。つまり、怠け者の後ろ足です。地面を蹴らずに、体重だけ支えます。怠け者です。
人間は、カラダを前に倒して前に進みます。前倒し歩行です。その原動力は、地面を蹴ることです。その原動力が、怠け者では欠落しています。典型的なのが、心意六合拳の鶏行歩です。
この特徴が、姿勢勁力の体得を難しくしています。人間の歩き方に反しています。つまり、人間の本能に反します。
さらに格闘技者にも合いません。格闘技的発想の武術者にも合いません。
格闘技は、後ろ足が地面を蹴って、その力を拳に伝えます。典型的なのがボクシングです。そのため、後ろ足の踵は地面から遠く離れ高くなります。
踵が地面から離れない武術も、やはり、後ろ足が地面を蹴り、その力を拳に伝えます。だから自然勁力です。
心意六合拳では、鶏歩の後ろ足の踵は地面から離れますが、その位置は高くなりません。練習を重ねると、どんどん低くなり、地面とスレスレになります。
足首の力が抜けて、体重がヒラメ筋に降りて来ます。ここにおいて、勁力が発生します。足首の力が抜けないと、踵は高いままです。
しかし、力で足首に圧力をかけて、低くする人もいます。特殊なケースですが、その場合も、勁力は発生しません。力づくでは解決できません。必要なのは、怠け者の後ろ足です。宋氏形意拳の六合歩も同様です。
怠け者の後ろ足を獲得することが、姿勢勁力の体得に直結します。
追伸 新年といっても、淡々と過ごしています。ベートーヴェンの月光、悲愴、テンペスト、熱情、を聴きながら。誰にも会うこともなく。
サルは大西洋を渡った、という進化生物学の本を読んでいます。とても面白い。練馬のサルはのんびりしたものです。