心意六合拳の鶏行歩を教えるのは、難しい。どうして難しいのか? 私は無意識にできてしまったので、できない人の気持ちがわかりませんでした。どうして難しいのだろう? 簡単なのに?
病気して後、動物学の本を読みました。すると、ある本で、指行性(趾行性) という言葉に出会いました。
指行性動物は、ネコ科、イヌ科、鳥類、恐竜、などがいます。
心意六合拳と形意拳には、虎形拳があります。虎は大きいネコです。イエネコはかわいい、なんて言う人がいます。しかし、あいつらは小さい虎です。捕食動物です。イエネコが大きくなると虎になります。
イエネコと虎の違いは主に大きさです。みんな勘違いしています。本当はイエネコは恐ろしい動物です。人間はイエネコよりはるかに大きいので、喰われないだけです。
それはともかく、ネコ科は指行性です。指行性四足歩行です。足指と趾球で立ち、歩きます。
鶏が歩くのが鶏行歩です。鶏は指行性二足歩行です。ネコも鶏も指行性です。
ところが、人間は蹠行性です。踵を地面に付けます。だから直立できました。
鶏は二足歩行ですが、指行性なので直立できません。羽があるので直立みたいに見えるだけです。
つまり、心意六合拳と形意拳を立身中正でやるのは、本質的に間違いなのです。
動物武術の心意六合拳と宋氏形意拳は、人間の姿勢ではありません。人間の姿勢をやめたのです。
指行性なので、本来の人間ではありません。指行性に進化=変化しました。
震脚する心意六合拳や形意拳がありますが、彼らは人間に戻ってしまったのです。人間に退化したのです。人間に堕落した、と言えます。当然、震脚は蹠行性です。
指行性に進化=変化した心意武術屋は、人間の姿勢に戻ることを拒否しました。
鶏行歩の勁力は、人間に留まる限り、できません。だから、人間に教えるのが困難なのです。
勁力は筋肉ではありません。腱ではありません。骨ではありません。気ではありません。
勁力はテクニックです。そのテクニックの前提の歩き方と立ち方が、人間の蹠行性ではなく、指行性動物でした。
心意六合拳の鶏歩は、宋氏形意拳の六合歩は、ヒラメ筋の伸長性収縮を備えています。だから、地面を蹴らずにスタートできます。ヒラメ筋の伸長性収縮が推進力となります。
ところが、直立姿勢ではヒラメ筋の伸長性収縮が起こりません。だから推進力がそのままではありません。そのために地面を蹴る必要があります。
地面を蹴るのはジャンプ運動ですから、カラダが浮いてしまいます。すると沈むしかありません。沈墜勁か震脚しかありません。
直立姿勢の特徴は、鼠蹊部が伸びて下腹部がくびれていません。だから、そのような鶏歩では、三体式では、ヒラメ筋の伸長性収縮は起こりません。推進力がありません。
鼠蹊部が伸びて下腹部がくびれていない鶏歩は、三体式は、実は直立しているのです。だから勁力が備わっていません。そのことを知る人はいません。
後ろ足の踵が高い鶏歩は、ヒラメ筋の伸長性収縮が起こりません。ヒラメ筋は空っぽです。ですから勁力が内蔵されていません。例えば、廬式心意六合拳です。
勁力はテクニックです。そのテクニックの基礎は指行性です。人間の蹠行性ではありません。直立姿勢ではありません。そのことを理解すれば、勁力は難しくありません。
追伸 というわけで立身中正はクソです。鼠蹊部は切れ下腹部はくびれます。注意点=鶏歩の失敗は、三体式の失敗は、弓歩の失敗は、しゃがんでしまうことです。弓歩でもしゃがんでしまう場合があります。月刊秘伝の達人先生の場合です。